Le Promenade Plantee/鉄道高架の再生



 パリの東側、バスチーユにかつて蒸気機関車の走っていた鉄道高架橋跡を再生した「プロムナード・プランテ/緑の散歩道」がある。これは、1969年に廃線となった鉄道跡地をSNCF(フランス国鉄)がパリ市に売却し再開発を行ったものだ。

http://www.promenade-plantee.org/

 元々この辺りは、伝統工芸の盛んな地区であったが、後継者や収入の問題を抱え衰退し始めていた。さらに鉄道の廃線によってドラッグディーラーやホームレスが増加し治安の悪化も深刻化していた。そこで、パリ市はこの高架下スペースを再整備するとともに、地場伝統工芸と小売業を結び付けたアトリエショップやギャラリーを(非常に安価な賃料で)優先的に誘致することにした。さらに、上部を緑豊かな緑道や自転車道として整備した。
 鉄道により分断されていたこの地区は、緑道を望む高級住宅地区としての再開発も進み、線的な再生が面へと広がった。

 歴史的な都市パリは至る所で再開発事業が行われているが、その大部分はハードだけの整備だけでなく、上記のように歴史的な産業/文化(ソフト)を同時に再生するプロジェクトであるように感じる。観光目的でパリを訪れる外国人旅行者数は東京の約5倍(1996年)である。まちづくりの意識の違いがこの差につながっているのかもしれない。

   

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