平等院/宇治市景観条例



 京都に行ってきました。久しぶりに宇治まで足を伸ばして平等院を見てきました。

 十円硬貨や一万円札で有名な宇治市の平等院は、、「古都京都の文化財」の一部として世界遺産に登録されています。鳳凰堂の前面に広がる周辺の自然景観を取り入れた庭園形式は浄土庭園と呼ばれ,その後の阿弥陀堂を中心とした寺院庭園の原型といわれています。

 さて、この平等院の背後に新たな”借景”としてマンションが見えています。動線の関係で東からアプローチする際には見えませんが、正面そして西側に回りこむとこの写真↓のような景色に出会います。ハア。。


 

 現在、2棟のマンションが見えていますが、さらに新しい計画が持ち上がっているそうです。世界遺産登録の推薦図書に「Zones of Legal Protection」という項があるため、宇治市は都市景観条例を制定していました。ところがこの条例では拘束力が弱く、バルーンを上げた調査や審議会を通して事業者と話し合いを行ったようですが、良い結果は出ませんでした。

 一方、宇治市は今年度、景観法に基づく景観行政団体に指定されました。(http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/townscape/database/gyousei/) 今後、景観計画の策定や行為の規制、景観協議会を設立、NPO法人などの景観整備機構として指定などを進めていくはずですので要注目です。

追記:

 宇治市は、平等院から400mの距離にあるマンション計画地からバルーンを20mの高さに上げ、見えるかどうかの検討を行ったそうです。別の手段としてGISの「Viewshed: 可視不可視」機能を用いる方法が考えられます。これはサハマ地区計画(http://cml.upenn.edu/tierrasajama/default2.htm)の際にも、動線からの眺望範囲を確認するために活用しました。

 今回のケースでは、DSM(デジタルサーフェスモデル)という高精度の高さデータを採用するのが適当でしょう。このデータは4万円/平方キロ程度の予算が必要になりますが、樹木やちょとした塀の高さもひろってくれるので大変便利です。これを用いて、平等院から見えてしまう建物高さを計算する。または、段階に応じた高さ制限のゾーニングを検討するなどが短時間で効率的に実施可能です。ちなみに、視点場としては、”点”と”線”が設定できます。宇治川に沿った散策路からの眺望や平等院の”鳳凰”からの視点なども個人的に見てみたい気がします。

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