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Design with Nature Now/関連情報

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ランドスケープ関連のベストセラー書”Design with Nature”の発行50周年を記念して、ペンシルベニア大学で Design With Nature Now Conference が6月20-22日に開催されました。
貴重な議論が交わされているので関連情報を備忘録として貼り付けます

■総合案内のHP

■基調講演及び鼎談の動画
気候変動、人口の都市への集中、科学技術の発展など今何が起きているのか、これからどんな方向に向かうのかが議論されています。

Design With Nature Now Conference Keynotes from PennDesign on Vimeo.


■関連する展示会の情報
図書館の蜂のデコレーションが素晴らしい!

(写真はKarin Hananel撮影を転載)

■マクハーグセンターのFB
https://www.facebook.com/pg/McHargCenter/posts/?ref=page_internal

■本国際会議の紹介動画

Design With Nature Now from PennDesign on Vimeo.

■書籍
今年の10月に発行予定の書籍” Design with Nature Now ”
https://mcharg.upenn.edu/book

■CITYLABの紹介ブログ
https://www.citylab.com/perspective/2019/06/landscape-architecture-design-with-nature-ian-mcharg-books/590029/





注意力・配慮力と自然の中での休息/ バイオフィリックデザイン+α

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仕事の生産性向上の重要な資源である、注意力の向上(Attention Enhancement) が、電子デバイスの使用によって損なわれる一方、公園での休息など自然との触れ合いにより回復するが、そこには+αの工夫が必要という趣旨の論文の備忘録

論文タイトルは”How to Waste a Break: Using Portable Electronic Devices Substantially Counteracts Attention Enhancement Effects of Green Spaces”
https://aslathedirt.files.wordpress.com/2018/07/0013916518788603.pdf

著者は香港大学のBin Jiang先生(イリノイ大卒業)、イリノイ大学の Rose Schmillen先生、 William C. Sullivan先生

主な内容は以下の通りです


Attention(注意力・配慮力)は業務を行うために重要な資源。これが低い人は重要事項を見逃し、イライラしやすく自己管理に悩む。失言も増え、人間関係にも苦労する可能性が高い。女性50名、男性31名、年齢17-35歳の81人の被験者に対して緑により注意力向上効果と電子デバイス使用の関係性に関して調査を実施した。参加者は10分間計算と暗記を行い、その後15分間、4種類の場所で休息を行った(下記画像参照)。休息中参加者の何人かはSNSなど仕事以外の用途でラップトップを使った。また、ラップトップを持ったまま休息したグループ、持たずに休息したグループを設定した。そして、休息後に注意力に関する再テストを行った。休息後に注意力が回復した唯一のグループはラップトップを持たずに緑の中で休息した人であった(下記グラフ参照)。よって、注意力を回復させるためには自然と触れ合える緑地を準備するだけでは不十分で、電子デバイスをわきに置くようななんらかの工夫を行う必要があるとの根拠が示された(結論)
バイオフィリックデザインを推進する論拠として、「緑が見える、緑と触れ合える空間を整備することでストレス回復効果が発揮される」等の研究論文は数多く出ています。 今回、本研究が示した、自然の中での過ごし方が注意力の回復に影響するとの視点は、バイオフィリックデザインを検討する上で、今後…

脳の活動(デフォルトモードネットワーク)とバイオフィリックデザイン/自然音の効果

バイオフィリックデザインは緑被率など視覚的な観点が主に議論されますが、自然の香り(嗅覚)や触れ合い(触覚)、自然の恵み(味覚)、音(聴覚)など五感を意識した総合的なアプローチが重要なことは論を俟ちません。
今回は英国オックスフォード大学の研究者らが2017年に発表した聴覚関連のエビデンスに関する論文に関してメモします。

論文タイトルは” Mind-wandering and alterations to default mode network connectivity when listening to naturalistic versus artificial sounds."

最近話題のデフォルトモードネットワークと音との関係をfMRIなど最新の計測装置を活用して調査しています。

主な概要は以下の通り


自然音や緑に囲まれた環境は、人工的な音と環境よりも快適であることは、既知の事実。例えばGuastavino, C.The ideal urban soundscape: Investigating the sound quality of French cities. Acta Acust. united with Acust.92, 945–951 (2006).本実験では、21-34歳の17人の被験者に、身近な自然音、聞きなれない人工音、身近な自然音、聞きなれない自然音、無音の5つのサウンドスケープを5分25秒曝し脳の動きをモニタリングした。同時に、被験者にアンケート調査を実施し、心地よさや注意力と音との関係を検証した脳の働きに関してはfMRI を用いてDMNに関する検証を行った(→DMN(デフォルトモードネットワーク)はさまざまな脳領域の活動を統括するのに重要な役割を果たしていると言われており、認知症やうつ病にも関係があると言われている。)人工音環境での活動は自然音環境と比較して被験者の注意力が劣っていた。主観的なアンケート調査では、自然音のほうが心地よさが高く、人工音が注意散漫になることが大きな差として示された。本実験結果では、身近な自然音に触れることで、DMNの機能が(良い方向に?)変化することを示すことができた。これは人が自然環境と触れ合う事が健康便益の助けになるとの説明につながる。

詳しくは本文を確認願います
https://www.na…

バイオフィリックデザインのエビデンス/自然との触れ合い関連

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今月発行になった、人の幸福や健康と自然の中でのレクリエーションとの関係性を調査した論文の備忘録。
筆者はUniversity of Exeter Medical SchoolのMathew White博士ら
タイトルは”Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing”








バイオフィリックデザインに関連している方にとって興味深いタイトルではないでしょうか。

(概要メモ)

過去7日間の自然との触れ合いと健康及び幸福の関係を自己申告で調査参加者は19806人、2014年から2015年に実施。地域差などは考慮し住宅の前庭のような場所で過ごした時間は参入せず過去①週間に自然との触れ合いが無い被験者と120分以上あった被験者を比較すると、健康や幸福感の高まりに以下の有意の差が出た。 (e.g. 120–179 mins: ORs [95%CIs]: Health = 1.59 [1.31–1.92]; Well-being = 1.23 [1.08–1.40]).
この関連性は200-300分でピークに達し、それ以上メリットは増加しなかったこのパターンは高齢者や長期的な健康問題を抱えるグループも含め同じ傾向であった自然との触れ合い時間(120分間)の内訳は関係なし。(一度に長い時間か短時間で数度かは関係なし)この研究成果は、健康のための自然との触れ合いに関するガイドライン策定に有益だ

人と自然の健康に関する研究は被験者数が課題となりますが、本研究は自然環境モニタリング調査に参加したボランティアを対象とすることで、2万人近い被験者を確保したようです。

本論文は公開(2019/6/13)されており全文はこちらで入手可能です
https://www.nature.com/articles/s41598-019-44097-3

エセックス大学メディカルスクール
https://www.ecehh.org/



ランド系大学の学費と投資対効果

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MLA ROIというタイトルで、米国のランドスケープ学生が減少している理由を、投資対効果(投資利益率)から解説している記事がLAM誌で紹介されていました。
大学の学費を投資、将来収入をリターンとしてとらえたときに、どのようなROI(投資利益率)になるのか? を説明しています

主な内容は以下の通りです



米国のランド分野の就業人員数は2006年の45,000人をピークに、2016年には2.5万人を下回る水準まで減少しているASLAのデータによると2013~2017年の間にBLAプログラム(学士)の入学者数は15%減少した。また、MLAプログラム(修士)の入学者総数は変わらなかったが、国内の志願者は16%減っており、海外留学生が定員をカバーしている。平均的なMLAの学生は$39,284の学生ローン(DesignIntelligenceデータ)を抱えて卒業し、平均年収$65,760(労働統計データ)を得るので借金に対する収入は1.67の倍率となる。これに対し、建築分野は1.72、インテリアデザイン分野は1.32となっている。また大学院生の入学者数は建築分野も10%減少、都市計画分野も11%減少している。一方、IT分野は平均年収が$84,580であり、一部では10万ドルを超えている。IT分野は学費がランド系分野と同レベルのため、ROIから検討し、こちらに学生が流れたのではないか?BLAとMLAの比較では、MLAを取得したからと言って生涯年収が大きく上昇することはなく、実務経験を積むことが重要だとのコメントを紹介しています。別の視点で、学費が年間5万ドルを超えるハーバードと1.2万ドルのカンザス州立大学も比較しています。この2校では卒業までの必要経費に4倍もの差があり、アイビーの学位が4倍もの価値があるのか?(Is an Ivy League degree really four times more valuable?)とのコメントが紹介されています。

その他、ランド分野での女性の活躍状況やオンライン教育の発展などに関しても、その課題などを説明しています。詳しくは本文を確認ください
https://landscapearchitecturemagazine.org/2019/05/28/mla-roi/

こうしてみると日本の学費は安いなと改めて感じます。高額な学費だからこそ、…

外遊びの重要性/Outside Play

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ニューヨークタイムズに”Making Playgrounds a Little More Dangerous”と題した子供の発育と外遊びの重要性に関する記事が掲載されていたのでメモします


屋外で危険性のある遊び(risky play)が子供の心身の健康に大きな効用があることがいくつかの研究成果として示されています。

たとえば、ノルウェーの研究では外遊びが恐怖心をコントロールすることに役立つことが示されています。
https://www.researchgate.net/publication/249047571_Categorising_risky_play-How_can_we_identify_risk-taking_in_children's_play

また、イギリスとアメリカの研究データでは固定遊具が少なく、ツリーハウスやのぼり場など一見危険な要素を持つ遊び場のほうが、滞在時間が長くなりケガも少ないとの結果が出ているそうです。
https://static1.squarespace.com/static/562e1f86e4b0b8640584b757/t/5a4cdf2f0d929722a0ed3085/1514987350174/LondonFullStudyReport.pdf


実際、外遊びに関する21の研究論文をレビューしたところ、以下のようなプラス効果が示されたそうです。
 The systematic review revealed overall positive effects of risky outdoor play on a variety of health indicators and behaviours, most commonly physical activity, but also social health and behaviours, injuries, and aggression.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4483710/


下記サイトでは外遊びの計画をステップを踏んで検討できるツールが用意されています
https://outsideplay.ca/



バイオフィリックデザインのパイロットクレジット/LEED

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LEED 新築v4のバイオフィリックデザインに関する基準の備忘録
個人的にはクライテリアDやEが重要かと思います

---(原文転載)
The five design strategies must address at least one of the following criteria: A. The project design provides regular access to Nature in the Space as defined in 14 Patterns of Biophilic Design (or Environmental Features, Light and space, Natural Patterns and Processes, as defined in Biophilic design: the theory, science and practice of bringing buildings to life, Table 1-1).B. The project design offers Natural Analogues as defined in 14 Patterns of Biophilic Design (or Natural Shapes and Formsas defined in Biophilic design: the theory, science and practice of bringing buildings to life, Table 1-1).C. The project design has spatial properties that align with the Nature of the Space as defined in 14 Patterns of Biophilic Design (or Evolved Human-nature Relationships as defined in Biophilic design: the theory, science and practice of bringing buildings to life, Table 1-1).D. The project uniquely connects people to the p…