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湿地の保全/Sackett v. EPA

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 米国では水質浄化法に基づき環境保護庁(EPA)が監視を行っています。 この監視の範囲(米国の水域:WOTUS)に関して水域のどこまで含めるのか議論が続いており、複数の裁判が行われてきたそうですが、本年5月に出た最高裁の判断に注目が集まっています。 Sackett v. EPA and the Definition of Waters of the United States - Harvard Law School EPA Statement on Sackett v. EPA | US EPA 水域であるか否かの基準として、海、湖や池、小川など地理的特徴を形成するか、表面的に他の水域と接続しているか、航行可能であるか、などの条件が示されています。 今回の判決は「古くから航行可能な水域に接続された恒久的な水域/ “relatively permanent bodies of water connected to traditional navigable waters.” 」という定義が示されたとのことです。また、人工の障壁によって隔てられている水域は除外するとのことです。 今回の裁判では暗渠によって道路下を横断し接続していた湿地が対象となっており、当該湿地は監視の範囲外となったそうです。 一連の水域の定義に関してASLAからは提言がなされています New WOTUS Rule Includes ASLA Recommendations | LAND ざっくりと言えば、地下でつながっている水域、雨季や雪解け水などにより一時的に出現する湿地なども含め包括的に定義し、生態系サービスを軸に多面的に評価したうえで、利用と保全のバランスを議論すべきという指摘です。 この議論は、今後の気候変動対応からも非常に重要な視点であり、点的なグリーンインフラ導入のみに止まっている場合ではない、地球上の水循環を対象とする水文学的なアプローチがますます求められると理解しました。 

公園と健康促進/The Power of Parks to Promote Health

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    Trust for Public Land が発行した表題レポートの備忘録 The-Power-of-Parks-to-Promote-Health-A-Trust-for-Public-Land-Special-Report.pdf (tpl.org) ・TPLが米国の人口が多い100都市を対象として発行しているParkScoreをベースに調査。 ・スコア上位の25都市ではランクの低い都市よりメンタルヘルス不全に苦しむ率が9%低く、身体的不健康の可能性が21%低い ・公園緑地で時間を過ごすことによる健康上のメリットに関する定量的な研究が進められている。例えばNYのBMIと公園へのアクセスの関係、パンデミック時のうつ病割合と公園へのアクセス可能性など ・全ての住民が10分以内に公園緑地にアクセスできる10ミニッツウォーク運動の重要性も説明、例えば10-minute walkの達成エリアでは範囲外のエリアとの比較で最大6度暑さが和らぐ ・一方、公園への近接は重要であるが、これに加えて品質や活性化、安全性も大切であり、アートや多言語案内などへの取り組みも必要と指摘。 その他、米国を中心に多様な研究レポートが整理されています。 公園の存在価値を議論する材料として有益なものですが、各種データが示す通りその便益に関しては地域差が大きいことが理解できました。