ブラック・スライド・マントラ/彫刻と緑

10日の朝刊にイサムノグチ作「ブラック・スライド・マントラ」が紹介されていた(画像↓)

http://www.dnes.co.jp/walk/odori2/black.html

この製作者の世界的な彫刻家(/建築家/インテリアデザイナー/....)イサムノグチはここであえて紹介するまでもないので末尾に関連WEB-SITEを紹介する。

 この彫刻の存在感もさることながら、ここでは作品設置に至るプロセスに注目したい。札幌「大通り公園」は東西に長い公園であるが、南北に走る道路によってほぼ100m間隔で分断されている。ノグチは当初「よい公園だが、(車道と交差する部分の)信号で止められるのが惜しい」と言っていたようだ。そして彼が指定した彫刻の設置場所はなんと8~9丁目をはしる南北道路上だった。彼は、東西南北ドコからでも見えるように、また”分断された公園”を連結し、子供達が安心して行き来できることを希望した。しかし、当時道路を潰して公園にすることは許されなかった。最終的にはノグチの死後3年経ってから車道を廃止した当初案の場所に設置されることになったが、これによりこの彫刻周辺は公園内で最も広いスペースになった。一つの彫刻作品によって空間のあり方や子供達の利用形態を提案したこの一連の経緯は興味深い。

                                地図

 さて、ノグチは常々「役に立つもの」がアートにとって重要だとコメントしていた。'86京都賞受賞記念講演においても「単に審美的な目的だけの彫刻にせず、スペースに、そして彫刻に人間性を与え、人々の生活に大きな役割をもたせる」という言葉を残している。アートや彫刻と聞くと”観賞”するものと思いがちだが”役に立つ”ものという発想は、まちづくりの重要なヒントになると思う。役に立つというのはただ単に利用できるということではなく、彫刻と触れ合う中で環境を含め様々な事象を理解することだと考える。最後にノグチの印象的なコメントを紹介したい「子供たちが何度もすべり、そのお尻になじむようなかたちになって、初めてこの彫刻は完成する」うーんクールですね。

モエレ公園(7月1日フルオープン):http://www.welcome.city.sapporo.jp/moerenuma/index.html

イサムノグチ庭園美術館:http://www.isamunoguchi.or.jp/gamen/home.htm

総合情報:http://www.consolstile.com/noguchi/about/

英語での情報:http://www.noguchi.org/us.html

コメント

  1. モエレ沼公園

    先週末にモエレ沼公園に行ってきました。

    ちょうど札幌にいたところ、テレビでモエレ沼公園を放映しているのを見て、翌日の早朝に出掛けました。



    プレイ・マウンテンとモエレ山の両方に登りましたが、風が気持ちいい!

    立ち去るのが惜しいぐらい、最高でしたよ。

    返信削除
  2. Unknown


    いいっすねモエレ沼公園

    なかなか札幌まではいけませんが

    東京でもイサムノグチの作品に会えるようです↓



    東京都現代美術館 イサムノグチ展

    http://www.ntv.co.jp/isamu/

    返信削除

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