投稿

2018の投稿を表示しています

アドプト緑化によるビール造り

イメージ
ホップのアドプト緑化とビールづくりによるまちの活性化 緑のカーテンで景観や微気象が改善できるだけでなく、オリジナルのビールを販売することで、まちなかに持続可能な緑を増やしていく取組みです この取り組みは当初国の支援を得て、2016年に狛江市で開始しました。 その後多くの方々のご支援の下、朝霞市、そして八重洲地区と活動を広げてきました。 報告書:http://www.mlit.go.jp/common/001226658.pdf 今年から、類似の取組みが守谷市でも開始したとのことで関係者の方から完成したビールを頂戴しました。 日経新聞電子版 によると、オリジナルのビールは市内で販売するほか、ふるさと納税の返礼品としても活用するそうです。 ランドスケープをマネタイズする手法として、今後各地で広がっていけば嬉しく思います。興味がある方は是非お声掛けください。 ■関連サイト 狛江の取組み https://www.kajima.co.jp/news/press/201610/26e1-j.htm http://kagoya01.blog56.fc2.com/blog-entry-4404.html 朝霞の取組み https://www.kajima.co.jp/gallery/biodiversity/ikimachi/farm/index-j.html#farm_171031 八重洲の取組み http://plusplus.suiken.beer/2018/12/1500-beerplusplus.html?m=0 守谷市の取組み https://www.city.moriya.ibaraki.jp/smph/shikumi/project/green/moriyagreenbeer.html https://www.city.moriya.ibaraki.jp/shikumi/project/green/moriyagreenbeer.files/MORIYAGREENBEER.pdf

WPLPとSociety5.0(LAM誌記事より)

イメージ
5月の ブログ で紹介したWPLP(西フィラデルフィアランドスケーププロジェクト)に関する記事が、ASLAの発行するLandscape Architecture Magazine 11月号に掲載されていました。主な内容をメモします。 フィラデルフィアではCSO(下水汚物による海汚染)問題などに対応するため2011年にグリーンインフラ計画ができた。これは1990年代にWPLPが実施したミルクリークのプロジェクトがヒントとなっている 西フィラデルフィアのミルクリークの氾濫原は、埋め立てられ都市開発が進められたが、埋め立てた場所は建物が荒れ果て空地になっていると推察された。アンスパーンらはこの仮説を立証するため、街を詳細に調査し、地形図や土地利用、植生などを重ね合わせ(オーバーレイ)地図をつくり、古地図などとの比較を行った。 1997年に助成金を得て研究データや改善計画をサイトに掲載し始めた。その結果、メディアが本プロジェクトを取り上げ、当時のクリントン大統領が訪問するに至った。 その後、様々な組織と連携しながら、在れた土地のアスファルトを剥がし、コミュニティーガーデン作りなどの土地の地下浸透能力を高める取組み(多孔質化)をすすめた。 現在、 WPLPのサイト は多数の研究レポートや動画が更新され続けており、世界90か国の100万人以上が閲覧するオンライン教材になっている he 1991 proposal for Mill Creek Park.  Image courtesy West Philadelphia Landscape Project. 情報を調査し、Websiteで発信し、協力者が集まり横の連携で地域を改善していく、、 WPLPの取組みはグリーンインフラのモデルとなるのはいうまでもありませんが、今風に言えば、経済発展と社会課題解決を両立するSociety5.0のモデルとも位置付けられるのではないでしょうか 私も学生時代に西フィラデルフィア・ミルクリークの横を通って通学していた経験があるので、当時を思い出しながら記事を読みました、、 LAM誌の原文は こちら です。

環境省/環境ビジネス FRONT RUNNER

環境省のWebsite”環境ビジネス FRONT RUNNER” で、GIの取組み内容を紹介して頂きました。 水、緑、生き物を活かしたグリーンインフラ基盤の構築: https://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/frontrunner/companies/article078.html 報告書(PDF): https://www.env.go.jp/policy/keizai_portal/B_industry/frontrunner/reports/h29engine_16kajima.pdf

Green infrastructureに関するお勧めの参考動画

イメージ
グリーンインフラの概念や事例、技術を紹介する最近のお勧め動画を整理しました。 数年前まではGIのPRも兼ねた定義やコンセプトの解説動画が主であったように思いますが、社会実装も徐々に進み、最近では具体的なデザイン論や事例を紹介する動画も充実してきたように感じます。 グレーとグリーンをハイブリット化した持続可能なまちづくりを紹介しています。 Green infrastructure バイオスェルなどに関するデザイン手法や維持管理技術を解説しています Discovering Designs for Green Infrastructure 米国におけるGIの職能関連の情報、分野や教育など Growing New Jobs With Green Infrastructure 教育施設におけるGIの重要性を解説 日本の研究データも参照されています Teach, Learn, Grow: The Value of Green Infrastructure in Schoolyards EPAは様々な側面から情報発信しています EPA Green Infrastructure Models and Tools Overview Green Infrastructure - Sustainable Landscapes - Subtitles | Swedish EPA TEDでも取り上げられる機会が増えているようです The Case for Nurturing a City's Other Green Infrastructure - Trees | Mat... Green Infrastructure for Runoff | Elizabeth Fassman-Beck, Ph.D. | TEDxSt...

Franklin D. Roosevelt Four Freedoms Park 

イメージ
10/19-22にASLAの年次総会がフィラデルフィアで開催されています https://www.aslameeting.com/ 地元のペンシルバニア大学でも、ローリー・オーリンのスケッチ展やグリーンインフラ化が進む大学キャンパスツアーなど関連イベントがあるようです。 大学内のイベントの一つに、ペン大の卒業生でNYのFDR公園の設計者であるHarriet Pattisonの講演会がありました。 NYのルーズベルト島をどのように理解し、景観を創り出していったのか、、 プロセスも含め振り返っている興味深い動画も公開されているので、備忘録として貼り付けます。

GIと気候変動緩和・適応 / ASLA Smart Policies for a Changing Climate

イメージ
昨日のランチの際に自然災害増加の話題が出たのでメモ 国連の自然災害に関するデータベース(EM-DAT)によると、1970年以降世界的に自然災害が急増しています (Asian Disaster Reduction Centeサイトから転載) もちろん数値が急増した原因は、気候変動だけでなく、人口増加に伴い被害が広がっている(人が居住していなければ被害が起きない)ことも指摘されています。 しかし、いずれにせよ、気候変動緩和/適応は待ったなしの状況であることは論を俟たないかと思います。 では、環境デザイン/グリーンインフラ分野でどのような取り組みが必要となるのか? ASLAが、参考となる関連レポート” Smart Policies for a Changing Climate  ”(PDF)を出しています。 例えば、コミュニティー開発では デザインの方向性として ・コンパクトな歩ける街(Walkable)を目指す ・ブラウンフィールドとグレイフィールドを再利用/再開発し、公園や農地とする ・再生可能エネルギーの採用 など 政策の方向性として ・空地空家の再活用 ・グリーンインフラに資金を提供するファンドの設立 ・不動産保険の基準の再検討 ・リスクの高い地域からの移転の促進 などが紹介されています。 この様な取り組みは、効果が見えにくいのが課題ですが、「カーボンニュートラルの未来は個々の無数の取組みの積み重ねによってのみもたらされる” Achieving a carbon neutral future will only come about through the cumulative effect of countless individual actions. ”」とのコメントが印象的です。 英国の The Landscape Institute も同様のレポートを発表しています。 https://www.landscapeinstitute.org/PDF/Contribute/LIClimateChangePositionStatement.pdf

ASLA 2018 Awards

イメージ
2018年のASLA賞の発表があり、 Landscape Architecture Magazine9月号 に詳細が掲載されています。 368の応募作の中から25作品が受賞とのことで、今年も職域の広がりを感じるプロジェクトが多数紹介されています コミュニケーション部門では、 ハリケーンからの復興への住民参加を支援する取組みやボルティモアの植生による水浄化システム アナリシス部門では オレゴンのダム湖周辺の遊歩道計画やアイオワの文化的景観の保全計画 ジェネラルデザイン部門では ブルックリンブリッジパークやシカゴのリバーウォーク、デューク大学の雨水対策などのキャンパス整備プランが選ばれています こちらの サイト でも内容紹介されています

Times square 広場化改修

Watch this video on The Scene . Times square の改修計画に参加したCraig Edward Dykersのインタビュー動画。 NYグランドセントラル駅からヒントを得てプランを検討したこと、歩行者が快適に移動できるように、その行動をどのように誘導するのかなど解説しています。 詳しい記事は こちら です。 タイムズスクエア広場化のプロセスに関しては建築学会の論文「 ニューヨーク市タイムズ・スクエアの広場化プロセス 」に詳しく紹介されています。

Vacant to Vibrant/空地を活用した水循環型まちづくり

イメージ
米国では汚水と雨水を一緒に流す合流式の下水が大雨時にオーバーフローすることにより、河川や湖、海の水質汚濁を引き起こし大きな問題となっています。 しかし、費用などの問題からインフラ改修はなかなか進んでいません。 五大湖周辺においてもビーチで悪臭が発生する等大きな問題になっています。 この課題に、人口減少により発生した空地を活用し取り組んでいるプロジェクト" Vacant to Vibrant "が LAM8月号 で紹介されています。 (Vacant to Vibrantより転載) 概要は以下の通りです 合流式下水の問題が発生しているオハイオ州クリーブランドでは1950年代から人口が減少し、空地や空き家が3万箇所も発生している。 Sandra Albro(クリーブランド植物園)はSean Burkholder(ペン大)とともに、空地にレインガーデンを設置することで、湖沼に流入する水質を改善するプランを立案 レインガーデン建設のための$862,000の資金を獲得 土地利用データから不透水面を抽出し、そこに隣接する空き地にレインガーデンを設置 22エーカー、221の空き地にレインガーデンを整備する他、雨水貯留タンクや緑化屋根も整備、加えて、遊び場や遊歩道なども整備 設置後モニタリングを実施し、効果を確認 モニタリング結果を用いた試算では5大湖のオーバーフロー問題を解決するために12万の空き地が必要。そのコストは21億6千万ドル(1.8万ドル/箇所)になる。これは下水道を回収するコスト30億ドルよりも安い 下水道の改修と比較し、レインガーデンの整備は不動産価値向上、住民の健康向上など多くのメリットがある。 Vacant to Vibrantというタイトルがキャッチーでよいですね。

SITESと公園/D.C. Bartholdi Park

イメージ
緑地認証システム”SITES”の基準とコミュニティにおける公園の役割を解説する動画を備忘として貼り付けました 再生資材の利用、土壌への配慮、レインガーデンなどが紹介されています。

健康まちづくりと微生物/Designing Cities for Healthier Microbiomes

2年ほど前、MITの研究者がミツバチ巣箱内の微生物サンプルを収集したいとの事で、東京駅前の都市型養蜂施設に案内したことがあります。 なんでも、共同研究者と共にロンドンの地下鉄やNYの下水管の中など世界中でサンプルを収集しており、微生物の分布データをこれからのまちづくりに役立てたいとの話でした。 その時は十分に理解できませんでしたが、先日オクラホマで開催されたEDRA会議(   Environmental Design Research Association conference )の紹介記事を見て、何点か腑に落ちたのでメモします。 マイクロバイオームと人間の肉体的/精神的健康の深い関係性が議論され始めた キッチンの壁など我々が暮らす環境は微生物に覆われており、有益な微生物は有害な微生物を抑え込んでいる。 ブルックリンのGowanus Canalの底泥を調べると、汚染物質の一部を微生物が紹介していることがわかった。 例えば、病院の建物に光と風を呼び込むことで病原菌を防ぐことができることがわかった。 都市農業などで土と触れ合うことで、有益な微生物と接触する可能性が増え、それにより子供も大人もうつやアレルギーのリスク減少に貢献することができる。 これからの健康まちづくりでは、微生物も注視すべき。 公園や広場に土と触れ合える空間を創り子供も大人も汚くなるようにデザインすることも重要 日本では衛生上の問題から砂場が撤去されるなど、汚くなるような遊び方はやりにくくなっているかもしれません。とはいえ、健康な生活を送るためには、一定レベルで自然とふれあい、微生物のバランスをとりながら有害なものに抵抗していく体を育てる事が必要なようです。その意味では、泥だらけになる屋上水田の機能なども再評価すべきなのでしょう。 都市の中でどのような形で自然との触合い機会を提供するのか、バイオフィリックな視点で多様な角度からデザイン検討することが益々重要になりそうです。 参照先:https://dirt.asla.org/author/asladirt/ 関連サイト:http://elizabeth-henaff.net/ https://www.nytimes.com/2013/05/19/magazine/say-hello-to-the-100-

造園家を目指す次世代向け参考図書/ ASLA Activity Books

ランドスケープアーキテクチャーに興味を持っている方のための参考図書が新たにASLAから発行されました。 本図書は 9歳~12歳向け (キッズ向け)と 13歳以上向け (ティーンと大人向け)の2冊に分かれ、無料でダウンロードできます。 主な内容は以下の通り。 ・ランドスケープアーキテクト(LA)になるためのツールやスキル ・LAが環境を創る多様な手法 ・LAがどのようにしてアイディアを形にしたり複雑な問題を解決するのか ・人々が暮らし、働き、遊ぶための美しい空間づくり 基本的に、一般向けの平易な英語で記述されているので、英文の専門書や論文よりは読みやすいと思います。 本文中では、ハンドドローイングによって検討を進める手法が主に説明されており、日米の類似点や相違点が見え隠れして興味深いです。 最近はCADやイラレ、フォトショ、スケッチアップが主流でハンドドローイングを見る機会も少なくなりましたが、手で描いて考える重要性を再認識しました。 2冊とも最終ページに、LAになるために必要な事項(Become a Landscape Architect)として以下の4点が紹介されています。 Study Hard:科学、技術、数学、芸術、歴史、経営、そしてコミュニケーションスキルなどを学ぶ事 Visit a Landscape Architect:ASLAの支部に問い合わせて、各地域にいるLAを訪ねる事 Volunteer:地域を知る必要があり、公園の清掃活動などのボランティアに参加する事 Prepare for College:全米にはLAのプログラムを有する大学が数多くあり、まずはそこに入学する事 4つの中にボランティア活動が推奨されている事が米国らしく印象的でした。

墓地のグリーンインフラ化/ワシントンD.C.

イメージ
米国ワシントンDCにおける、雨水貯留の新モデルの話題 墓地などをグリーンインフラ化することにより、持続可能なまちづくりを進めようとしています。 ポイントは次の通りです 墓地の不透水面を除去し雨水流出抑制のグリーンインフラモデルとして改変 これにより年間14万ドルの雨水処理費用を削減 地下浸透を促進することで水質も改善し、長年の課題であったChesapeake Bayの水質改善にも寄与 元々あった437000平方フィート(≒4ha)の不透水面の内、未利用の道路を廃止したり車線を減らすことで現時点で18000平方フィート(≒0.17ha)がバイオリテンションセルに置き換わった。 GI化に必要な資金1.7百万ドル(≒1.8億円)は、stormwater retention creditsを販売する事で確保する。 ワシントンDCでは2013年に出来た新しい規制により、開発業者が必要な雨水貯留対策を講じることが難しい場合、雨水貯留クレジットを買って代償することになった。 元の記事は こちら "D.C. Cemetery Finds New Life As Stormwater Retention Model " 日本でも都市型水害が深刻化する中で、開発時のオンサイトにおける雨水貯留は重要です。 しかし一方で、将来的な構造物の維持管理、更新コストを考えると従来型のアプローチでは限界があるのは明らかです。 そこで、墓地に加え、都市内の駐車場や農地、学校校庭などのグリーンインフラ化を進めることにより維持管理負担の削減に加え水質浄化や緑地面積の増加など多様なメリットが生じます。 GIを社会実装するための大きな課題である「資金」面に関しても、クレジットシステムの導入により解決を図っている点が印象的です。 持続可能なまちづくりに向けた今回の取り組みの今後の展開に要注目です。

Biophilic Leadership Summit

イメージ
昨年も メモ した” Biophilic Leadership Summit ” 今年も4月8-11日にセレンビーで開催されました 今年も興味深い情報が多数紹介されていたようですので以下に列記します(ネタ元:https://www.mindbodygreen.com/articles/how-to-bring-biophilic-design-into-your-home) GoogleやEtsy, Amazonのオフィスでは生産性を高め職場のストレスを軽減するため、自然に基づいたデザイン(バイオフィリックデザイン)がここ数年でメインストリームになってきている。(Googleの MARY DAVIDGE氏基調講演) Van Vliet's   の アプローチ の紹介 Work in some water.  Go for a smell-good space.  Seek refuge.  Play with sunlight.  Designate tech-free spaces. WGBCが最近発表した Doing Right by Planet and People: The Business Case for Health and Wellbeing in Green Building の紹介(ダウンロード可、ケーススタディ多数) NATURE-BASED WELLNESSの 紹介 Keith Bowers ”Atlanta’s Urban Ecology Framework”の動画 バイオフィリックデザインのケーススタディ(整備事例)は増加しているようですが、後付コンセプトの感もあります。 また、フレームとしては理解できても、個別の施設と利用者の健康との関係性の解明はまだ始まったばかりといった感じです。 私の周辺も「なにそれ?」といった反応が多く、盛り上がりに欠けています。 とはいえ、因果関係を否定できるものではなく、加えて、シンガポール政府やIT系のトップ企業が「Biophilc」を打ち出しているのは心強く感じました。

West Philadelphia Landscape Project/都市水害とランドスケープ

MITのアンスパーン教授がCooper Hewittの 2018 National Design Awards を受賞したとのニュースが発表されました。 ランドスケープではFarrar Pond Garden で有名なMikyoung Kim氏も受賞しています。 公式サイトではアン先生の代表的な取り組みの一つである西フィラデルフィアの再生事業(WPLP)が動画と共に紹介されています。 フィラデルフィアの貧困地域である西フィラデルフィアは、貧困や水害、治安など数々の課題を抱えています。 WPLPではペンシルバニア大学やMITなどの協力を得ながらフェーズごとに複数の取り組みが進められています。 例えば、古地図を用いて歴史を紐解きながら下水計画を見直し洪水や地盤沈下の減災を防止する。空地を活用して教育プログラムを展開し貧困から抜け出す機会を提供する。 参考までにいくつかの動画を下部に張り付けました。 注目したいのは専門家がランドスケープリテラシーを用いてエリアの問題を発見し、土木、建築、教育、行政などの各専門家と協力しながら事業を進めている点。 日本ではグリーンインフラの社会実装も大きな課題となっていますが、地域の課題を読み解き、他分野の専門家と丁寧に議論を重ね問題共有し、職能の枠を超えて行動していくことで、次のステップが見えてくると再認識しました。

2018住宅外構のニーズ/ASLA調査

今年の2~3月にかけてASLAが実施し、ランドスケープアーキテクトが回答した住宅外構ニーズの 調査結果が発表 されました。 最近のトレンドトップ10には、在来種、ヨガスペース、それにモバイル用の充電ステーションが入ったと公表されています。 Here are the top ten project types with the expected highest consumer demand:   • Native plants – 83.3% • Native/adapted drought tolerant plants – 83.0% • Low-maintenance landscapes – 80.0% • Flexible use space (for yoga classes, movie night, etc.) – 74.2% • Drip/water-efficient irrigation – 72.4% • Permeable paving – 74.0% • Rain gardens – 71.2% • Reduced lawn area – 70.8% • Food/vegetable gardens (including orchards, vineyards, etc.) – 70.5% • Charging stations (mobile devices) – 70.0% 在来種を活用した無灌水の緑化や多目的利用のスペース、レインガーデン、菜園などのニーズが高いのは従来通りの様です。 その他、カテゴリーごとに2018年のトレンド予想が紹介されています。以下転載です。 Outdoor Design Elements Ranked in expected order of popularity for 2018: Fire pits/ fireplaces – 66.0% Lighting – 65.4% Seating/dining areas – 64.0% Outdoor furniture – 59.1% Outdoor kitchens – 58.8% Decking (i.e., rooftop decking, etc.) – 53.6% Grills – 50.0% Movie/TV/video th

健康とGI/10 Ways to Design Healthy Communities

ASLAのウィスコンシン地区大会の基調講演(Dee Merriam女史)を紹介した記事の備忘録 公衆衛生を向上させるために、コミュニティに公園やトレイルを整備することが重要。 Center for Disease Control and PreventionとNational Center for Environmental Healthは「健康的なコミュニティデザインのイニシアティブ」を立ち上げ、造園家のDee Merriamを雇用した。 彼女は、行政の公衆衛生部門と地域開発部門が連携しておらず、重複投資など幾つかの課題をあげている点を指摘している。 例えば、調整池の多面的利用や街路樹のための空間確保などはコストをかけずに健康面で大きなメリットをもたらすにもかかわらず、開発者は関心を持たない事が多いとコメント。( silo-based approachesになっている) この解決策として、グリーンインフラの考え方が重要になると指摘。 また、身体的、精神的健康を養うための次の10のデザイン手法が紹介されています。 Start with a “community health profile” Identify potential partners. Leverage park and trail creation with other development initiatives. Include open fields in parks, and resist efforts to carve up existing ones.  Strive for equity within outdoor recreational resources.   Ensure pedestrian access to parks and trails. Create conditions for people to feel safe. Consider making sidewalks and park and trail accesses wide enough for children to walk in groups.  Reduce the length of blocks.  Set aside land for fu

シンガポール 都市林のプラットフォーム/trees.sg

イメージ
3/21のInternational Day of Forestsに際して、シンガポールのNParks(the National Parks Board)が、都市林のオンラインプラットフォームを立ち上げたとの発表がありました。 例えば、Exploreの頁では、シンガポールにある50万本以上の樹木の位置や情報などが、オンラインで閲覧可能となっており、市民の方が家の前の樹木の開花時期を調べるたり、メンテナンス方法を学んだりすることが可能となっています。 ⇒https://www1.nparks.gov.sg/trees 使い方は非常にシンプルで、住所を入力したり、オンラインマップから探したい場所を指定して、表示された個別の樹木をクリックすると、その樹木の写真や学術名、開花時期、維持管理方法などが表示されます。 Contributeの頁では、自分で撮影した樹木写真の登録や寄付、ボランティア活動の参加情報などが提供されています。 さらにLearnの頁は、樹木の働き(生態系サービス)や樹木の仕組みなどの情報が得られるようになっています。 その他、シンガポールでは3/21から都市林を巡る無料のパブリックツアーが開催されるそうです。 ⇒https://www.nparks.gov.sg/treetrails Date Time Guided Walk 21 Mar (Wed) 10 AM Trees of the Fort 24 Mar (Sat) 9 AM Heritage Tour in Singapore Botanic Gardens 25 Mar (Sun) 9 AM Civic District Tree Trail 31 Mar (Sat) 9 AM Chinatown Heritage Tree Trail Registration will open on 18 Mar, 10 AM 本システムは、都市緑化の市民向け啓発活動として役立つことはもちろんですが、専門家が実施する各種緑地検討の参考データとしても非常に有益と思いました。市民がデータを強化していく仕組みも良いですね。

The Top Landscape Trends of 2018/NALP

米国NALP(The National Association of Landscape Professionals)から2018年ランドスケープ動向に関する予測調査が発表されています。 http://www.landscapeprofessionals.org/nalp/media/2018-press-releases/NALP-top-landscape-trends-2018.aspx ここ数年続いてきたアウトドアリビングの普及を受け、美しく機能的な景観整備が進むとの事で、「体験型」「気候変動」「節水」「最新ツール活用」「遊び心」がキーワードとなるようです。 以下サイトから転載-- 1. Experiential landscape design.  Today’s landscapes are thoughtfully and creatively built for living, working and playing, and bring together form and function for a quality outdoor experience. More residential landscapes feature designated areas for cooking, dining, relaxing and even working outdoors, armed with fully integrated outdoor lighting and audio/visual systems for a multisensory and multiuse experience, day or night. Office landscapes more frequently include walking and bicycle paths, dining areas or gardens to enhance the employees’ experience. For both residential and commercial landscapes, the experience often begins at the entrance, with plantings, design elements an

健康とデザイン、データ/smarterPLAY

イメージ
フィラデルフィア   Thomas Jefferson University の プロジェクト より良い都市デザインを検討するため、スマートタグを用いて改修前後の公園利用者の活動データを収集分析しています。 安全性や遊具、接道など空間デザインと利用者の活動の関係性が把握できれば、肥満防止など地域住民の健康維持に貢献できるということです。 ジェファーソン大のBon Ku 医師が立ち上げた、医療とデザインのハイブリッドプログラム JeffDESIGN では、このsmarterPLAYの他、健康+デザインをテーマに多様な取り組みを行っています。今後再開発が進むであろうエリアの都市デザインに活用していく目的です。 http://design-health.com/ 医師が、低所得地域における健康向上のため、エビデンスベースな都市デザインに取り組む。 このJeffDESIGNのプロジェクトは、長期的な視点、専門を超えた横の連携、フィールドワークの方法など示唆に富むものと感じました。

花粉症と植栽/ Allergy-Friendly Plants

イメージ
花粉症には一年で一番憂鬱な時期になりつつあります というわけで、アレルギーリスクに関連する植栽選定のネタ (ネタ元は こちら ) 日本ではスギやケヤキが有名ですが、それ以外にも様々な植物の花粉がアレルギーを誘発します。 恐ろしいことに、気候変動により今後花粉の発生数はますます増加するとのことです Rutgers Universityの推定では、2000年の花粉発生数は1m3あたり8,455粒であったのに対して、2040年には21,735粒まで増加する見込みだそうです。 こんな状況ですが、植栽計画でも花粉アレルギー対策を検討する事があります。 有名なのは、Thomas Ogrenが制作した OPALS(Ogren Plant Allergy Scale) (転載:Fix.com) OPALSは、アレルゲンレベルに基づいて植物を1~10のスケールで示しており、1~5は低リスク、10はもっともリスクが植物となっています。 ちなみにレベル1には、ブルーベリーやプラムが入っています。 OPALSに関しては、 allergy-friendly gardeningを推進している The Society for Allergy Friendly Environmental Gardening (SAFE Gardening) の サイト でも詳しく紹介されています。 10年以上前ですが、このブログに書いていたのでよろしければご参照ください。 http://greeninfrastructurejapan.blogspot.jp/2014/11/allergy-free-gardening.html allergy-free gardeningから、 allergy-friendly gardeningにいつのまにか変わっていました、、

緑による健康的な職場づくり/A Greener, More Healthful Place to Work

イメージ
働き方改革は緑の活用から! というわけで、緑を活用した最新のワークプレイスに関する NYタイムズの記事 (1/11)をスクラップ ”A Greener, More Healthful Place to Work”というタイトルで、バイオフィリックデザインを意識して設計されたマンハッタンのCookFox Architectsのオフィスなどを事例紹介しています。 (転載:CookFox) (転載:NYpost) CookFoxはバイオフィリックをテーマにOne Bryant Parkなどを手掛けている設計事務所です。 マンハッタン中心部に位置する事務所の室内には在来の木本類、草本類など様々な緑が植栽され、緑に囲まれた屋外の打ち合わせスペースも設けられています。 養蜂も実施しているとの事。 記事では、アメリカ人は一日の90%以上を屋内で過ごしていること。それがストレスホルモンの増加など健康上問題になることが研究により明らかにされつつある事を紹介しています。 一方、生態学を活かした設計により、病気による欠席率が減少させ、生産性を15%上げること、有名な「レンガ理論」による病院の治療効果の向上のなどが示されています。 結びにクック氏の以下のコメントが紹介されていました。 “We don’t just want more beautiful buildings and better health,” he said. “The health benefits and the energy reductions are going to need to go hand in hand.”

deliberative development

イメージ
オーストラリア・メルボルンで注目されている” deliberative development ”の話題。 先月AILA主催で開催されたパネルディスカッションでの議論が 記事 になっています。 記事では、投機的な企業が実施してきた過剰で環境を試みない住宅開発モデルと比較して、環境・コミュニティーを重視する新たな開発モデル”deliberative development”の概要を以下のように紹介しています。 ・deliberative developmentはデザイナーや将来の入居者集団がプランを検討する開発モデルであり、リスクと収益が主な目的ではなく、コミュニティ志向の開発モデル。 ・都市デザイナーAndy Fergusの説明では「本手法により25~30%開発コストが削減され、その分、環境性能やコミュニティ価値向上などの品質向上や価格低減に貢献できる。」とのこと。 ・このモデルは ナイチンゲール住宅開発 をきっかけに注目が集まった。 ・1970年代に英米のニュータウンモデルを参考に開発されたバーモントパークは最初のdeliberative developmentモデルであり、プライベート空間を遮断しながら共有スペースを確保しインフラとしての公園を整備している。 (引用:http://nightingalehousing.org/) (引用:https://www.foreground.com.au/) (Image courtesy Tract) 本モデルは資金調達や行政との調整などに課題があり、計画進行にまだ改善の余地は残るものの、今後メルボルンのより多くの場所で適用していきたいとコメントされています。 興味深かったのは、このパネルディスカッションをオーストラリアの造園協会( AILA) らが主催していること。パネラーも造園のバックグラウンドがある人が多いようです。 http://mpavilion.org/program/commoning/ deliberative developmentはDIYモデルとも呼ばれるそうです。日本でもコーポラティブハウスと呼ばれる開発モデルがありますね。今後の展開に要注目です。