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Landscape for 2030

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(引用:LIサイト)  前回に引き続き、気候変動への取組みネタで、英国のLandscape Institute(LI)から発行されている” Landscape for 2030 ”の備忘録 本書はLIで2008年に発効したLandscape architecture and the challenge of climate changeを更新したもの。 LIではその後2020年5月に 気候と生物多様性へのアクションプラン を発行している ランドスケープの専門家は特定の気候変動の課題に取組むだけでなく同時に複数の2次的利益を提供する代替手法を提供すべき 排出量削減のためには、新しい政策、アイディア、現場でのイノベーションが必要 本書では、公共広場からエコパークまで様々なスケールで気候変動に対応した低炭素な場所を作る施策を11のケーススタディを通して紹介 ランドスケープは緩和と適応の両方の役割を果たすことが出来る。そのためには、自然資本、経済資本、社会資本の相互作用に対する理解が必要(natural, economic, and social capital ) 具体的なアプローチとして、各種施策における生態系サービスのトレードオフや、気候変動リスクに対するNbS適応、リサイクル材の利用、地域種による維持管理時エミッションの削減、再生エネルギー開発支援、非車両交通インフラの提案、バイオセキュリティーの検討などが可能 自然資本、経済資本、社会資本(natural, economic, and social capital )に関しては宇沢弘文氏の社会的共通資本(自然環境、社会的インフラ、精度資本)にも通じる考え方ですね。 ケーススタディは既出のプロジェクトが多く目新しい感じはありませんが、日本のランドスケープ系のレビューであまり注視されない、廃棄物削減や持続可能な水管理、リスクシミュレーションなども丁寧に解説している点が印象的でした。

気候変動に対するデザインへの要望

昨年末に公開されたASLAの調査” Significant Increase in Demand for Climate Planning and Design Solutions Over Past Year ”の備忘録 米国で気候変動に対応した計画・デザインへの要望が強まっており、2021年10月に563人のランドスケープの専門家を対象にアンケート調査を実施 気候変動によるインパクトで顧客が注目している項目は以下の通り Increased duration and intensity of heat waves Increased intensity of storms Increased spread and intensity of inland flooding Loss of pollinators, such as bees and bats Changing / unreliable weather, or “weird weather.” より持続可能なまちをつくるためには、気候変動に関する規制を強めadvocacy by designのアプローチが必要 多様なインフラ整備など温室効果ガスを削減するプロジェクトは経済にもプラスとなる ASLAのCEOは、ランドスケープの職能として、炭素を貯蔵し、海面上昇や洪水・干ばつなど気候変動による影響からの回復力を高める nature-based solutionsを提供すべきであると主張している。 洪水や干ばつ、生物多様性、ヒートアイランドなどへの解決策のニーズに関して、詳細は次のサイトで公開されています: https://www.asla.org/2021climatesurvey.aspx 温室効果ガス削減に関しては、 Climate Positive Design  の実践も重要だと紹介されており、5つの戦略と解決策が紹介されています。こちらは、ほとんど昔から言われていることと変わらなく、ちょっと首をひねるような内容もありますが、ご参考まで The top five strategies 炭素を吸収する公園やオープンスペースの整備 木陰の創出など樹木の配置による建物のエネルギー使用量削減 ハビタットの再生による、バイオマス量の増加と侵入種の排除 芝生の排除による、維持管理エネルギーの削減 土壌の保全によ