都市に活力を生み出す人材が求める都市環境に関する研究/ナレッジワーカー
最近、魅力的なワークスペースに関して意見交換する機会が増えました。
米国ではBIDなどにより、オフィス地区を活性化/魅力向上する取り組みが盛んです。
そのようなオフィス環境で生産性の高い業務をこなしているナレッジワーカー・クリエイターたちと国際間競争し生き残っていくためには、今後わが国においても革新的なワークスペースを整備していく必要があるというのが共通認識です。
また、優秀なナレッジワーカーを引き寄せるためにも、そのニーズにあったワークスペースを整備していく必要があります。
これらの取り組みはワークスペースイノベーションとも呼ばれ、今後の展開が期待されています。
もちろん、小職としては緑の整備によるワークスペースイノベーション手法を探る、という切り口になります。そんな分野に興味を持つ皆様に、東京の3エリアを調査した次のレポートを紹介します。
「都市に活力を生み出す人材が求める都市環境に関する研究」
~ナレッジワーカー・クリエイターの具体的ニーズ調査より~
2006年3月 国土交通省国土交通政策研究所
このレポートでは、アジア3都市(ソウル・上海・台北)および東京(渋谷区桜丘町・南青山・神田神保町)に立地している企業への調査と、ナレッジワーカー・クリエイターを対象としたインタビュー調査を実施しています。
緑に関する記述は多くはありませんが次の通り簡単に紹介します。
・インタビューによると、リラックスできる場としての緑・水辺・公園等へのニーズは高い。
・キーワードは緑でありぜひ政策的に進めていくべきである。
”ナレッジワーカーやクリエイターが求めるのは、結局、先端的な雰囲気はあるけれど、緑が多くて人間的な街。安全安心、やすらぎを感じるところで、殺伐としたところはだめで、意外と人間性を求める。
例えば、大学のキャンパスは緑がたくさんあるように、頭を使う人は緑を求める。
高所得者の緑=環境の所得弾力性は非常に高いといわれている。
全てが満ち足りてきて、後は、自分はアイデアを出すとなると、クリエイティブワーカーはインスピレーションのためには、緑、静寂、癒しを求める。”
”例えば、ビジネスマンが活用する公園として、小長谷教授はマルチメディアガルチにおけるサウスパークの例を挙げた。
「今は少し寂れているけど、最盛期には、会社の全員が出てきて、そこで仕事をしていた。そこで撮影もするなど、会社の一部として活用しているというくらいだった。」とのことである。大人が使うことを意識した公園整備ができれば、打合せを公園でやろう、アイデアは公園で考えようかというように、意識や考え方が変わってくる可能性がある。”
(太字と下線は自分でつけました)
昨年実施したセミナー「緑による不動産価値向上」では、ナレッジワーカーやクリエイティブクラスといった層は、居住環境・オフィス環境両方に質の高い緑を求めていることを紹介させていただきました。
このような潜在的マーケットを不動産販売戦略に生かすことで、地域環境にも、購入者にも、企業利益にも良いまちづくりが展開できるのではないでしょうか。
余談ですが、友人のKさんいわく、クリエイティブクラスとLOHAS層の大部分が重なるというデータがあるそうです。緑のある生活を求めているのだから納得できますね。
□関連サイト
国土交通政策研究所:http://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/kkk66.html
報告書:http://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/pdf/kkk66.pdf
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