食料自給率と農の風景



 先日、食料自給率がカロリーベースでついに4割を切り39%になったとの報道がありました(生産額ベースでは69%)。

農業従事者の減少、耕作放棄地など様々な原因が指摘されていますが、

その一方で各地で年間2000万トン近い食べ残しなどの食品廃棄物が発生するなど、この課題に関する社会の関心はそれほど高くなく

解決にむけた議論もそれほど活発には行われていないように感じます。



農は、社会の循環システムに大きく関与しており、

その衰退は食料だけでなく、廃棄物やエネルギー、水、生態系、防災機能などに悪影響を及ぼすことは論を待ちません。

また、日本古来の農の風景やそれに関連する祭りなどの行事、遊びなど我が国の文化の劣化にもつながると思います。

まさに、供給・調整・文化の生態系サービスの劣化です



言うまでもなく、この解決には万能策があるわけではなく、地域固有のユニークな対策が求められます。

タイミングよく、東京都から「農の風景育成地区制度」の創設に関する発表がありました

--(以下転載)



東京都は、都市の貴重な農地を保全し、農のある風景を維持していくために、「農の風景育成地区制度」を創設し、平成23年8月1日から施行しますのでお知らせします。

1 制度の概要


 東京の農地は、食料生産の場だけではなく、潤いのある風景の形成や、災害時の避難の場としても役立つ貴重なオープンスペースであり、多面的な機能を果たしています。
 このため、都は、減少しつつある農地を保全し、農のある風景を将来に引き継ぐ「農の風景育成地区制度」を創設しました。
 この制度では、農地や屋敷林などが比較的まとまって残る地区を指定し、区市町と協力して、農地等の保全を図るために都市計画制度などを積極的に活用することとしており、地域のまちづくりと連携しながら農のある風景を保全、育成していきます。

2 地区指定の効果



  1. 農の風景育成地区内では、散在する農地を一体の都市計画公園などとして指定することを可能とし、これにより農業の継続が困難となった場合にも、区市町が農地を取得し農業公園として整備することができます。

  2. 地区指定に向けて、農業者との協力、連携を図ることで、農地の活用を通した農業者と地域住民との交流が促進されます。

  3. 都市農地の重要性などについての住民の理解が進み、農のある風景が育まれます。

3 今後の取組


 都は、区市町と連携して、今年度内の具体的な農の風景育成地区の指定に向けた調整を進めており、農地の保全、農のある風景の育成に取り組んでいきます。

 --(ここまで)



この制度は特に23区内での適用をイメージしているそうです。

都市農業は砂埃や臭いの問題など近隣から嫌われることもありますが、

農の保有する多面的な機能を意識しながら風景として育成・維持していこうという趣旨には大いに賛成です





■関連サイト

農の風景育成地区制度:http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/08/20l81200.htm

農水省 食料自給率などについて:http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/anpo/110811.html



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