コミュニティーガーデンと防犯



 東京都杉並区で、路地裏などに花を植える活動を実施したところ、空き巣被害が1/4に減少したというニュースが紹介されています。



--(記事を一部転載)

東京都杉並区が、人通りの少ない路地裏で花を育てるなど、街を美化する取り組みを進めたところ、昨年1年間の空き巣被害が、近年では最多だった2002年に比べ、4分の1以下に減ったことがわかった。

 地域の人たちが花の世話や観賞のために路地を行き来することによる「監視の目」が防犯に役立っているとみられ、全国の自治体から視察や問い合わせが相次いでいる。

 杉並区には狭い路地に家が密集する地域が多く、かつては空き巣多発地域として知られていた。00年に1353件だった空き巣被害は、01年に1485件、02年には1711件まで増加した。

 こうした状況に危機感を抱いた区では03年10月、自主防犯パトロール隊への支援策などを盛り込んだ「安全美化条例」を施行。協力が得られた住民の自宅周辺に防犯カメラを設置し、警視庁OBによるパトロール隊も結成するなどした結果、03~05年の被害は何とか1000件前後に抑え込んだ。

 ところが、06年には1206件と増加に転じた。このため区は、なぜ被害に遭うのかを探ろうと、05年に空き巣に入られた100世帯を対象に調査を実施。その結果、玄関先や庭先に花を飾っている家の被害は2軒しかないことがわかった。

---(ここまで)



杉並区では「花咲かせ隊」などの制度を設け、街の美化と防犯対策を進めているそうです。



このような取組の先駆的事例として、「西フィラデルフィアランドスケーププロジェクト(WPLP)」があります。

これは、1987年からペンシルバニア大学の教師や学生、地元の園芸家などが協力して進めたプロジェクトです。フィラデルフィア西部のスラム化し空き地となったスペースを地域の人と一緒にをコミュニティーガーデンとして整備したものです。



WPLPは、単に街を美化することだけでなく、園芸を通して、地域の子供に教育機会を提供する、安全な野菜を得る、治安を良くする、水循環を改善するなど多様な成果をあげました。

緑をつくることが、健全なコミュニティーの形成につながり、結果として治安改善や地価の上昇、住民の定着化などよい結果を生んだわけです。



そして、コミュニティーガーデンができたエリアの高校進学率が改善したなどのデータをGISを用いて可視化して、市の予算の獲得につなげています。



ちなみに今回の写真はマンハッタンのバッテリーパークシティーそばのコミュニティーガーデンです。丁寧に管理されていました。



■関連サイト

ニュース記事:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090606-00000543-yom-soci

すぎなみ公園育て組・花咲かせ隊:http://www2.city.suginami.tokyo.jp/guide/guide.asp?n1=80&n2=550&n3=200

西フィラデルフィアランドスケーププロジェクト:http://web.mit.edu/4.243j/www/wplp/

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