投稿

都市林の木材としての再利用

イメージ
街路樹などの都市林は空気の浄化や景観形成など都市に多くの便益をもたらしています。しかし、老化や疾病などにより毎年一定量が伐採されています。 伐採された都市林はどんな大径木であってもほとんどが、チップ化され肥料や燃料になっています。木材として新たな使命を得る都市林はほとんどありません。 実際、工事などで伐採せざるを得ない樹木を木材として再生するには 樹種がまちまちで品質が一定していないため買い手がつかない 木材に釘などの異物が混入し鋸を損傷する 製材所は都市には存在しないため物流にコストがかかる、 など多くの課題が存在します。 今月リリースされた CITY LABの記事 では、米国での都市林再利用の情報が紹介されています。 例えば、ニューヨーク市だけで年間8000本の都市林が伐採されるそうですが、日本と同じくほとんど再生利用されないそうです。 そんな状況を打開しようと”CITY BENCH”という企業が活動しています 彼らは主にコネチカット州、NY集、NJ州の都市から発生する木材を集め、ベンチや家具などに加工販売しています。 (Courtesy of CITY BENCH) 割れが入っていたり、形状がいびつだったり、釘が打ちつけられていたり、、 個性あふれる都市林の特徴を上手に活用し、単に再利用したというレベルではなく、ファニチャーとしてデザイン性の高い商品に仕上がっていると感じました。 担当スタッフが材の特徴を見極める高い技量を保有しているのでしょう。 使命を終えた街路樹から作成したこのような家具が置いてある店舗が増えれば、 人と自然の関係性をより深く考えるよい機会になるのではないでしょうか。 私も国内の某プロジェクトで同様のチャレンジを行っておりますので、近いうちに別媒体で紹介出来ると思います。

街路樹の日米比較/Leaf Dayなど

イメージ
季節ネタで街路樹管理手法の話題 紅葉が美しい11月ですが、東京では紅葉・落葉前のタイミングで強剪定が行われています 沿道住民や店舗からの行政へのクレームを防ぐために、葉が落ちる前に枝ごと落とす強剪定に関しては、日本は景観に関する関心が低いため実施されると言われています。本当にそうなのでしょうか? 日本では、自治体が街路樹を”何本植えるか”を目標としているケースがあり、これが強剪定を引き起こす一つの要因ではないかと感じています。 つまり、何のために街路樹を整備するのか、その目的を達成するための街路樹デザインはどうあるべきかの議論がなされておらず、 「○○通りに街路樹を100本増やした」が目標となっているため、本数の確保そのものが最大の達成目標になっています。 この考え方では、質を問わず同じ大きさのスペースに出来るだけ多くの植栽をする方が、「目標に近づく」ことになります。 従来1本植えられていたスペースに2本植えるように計画したり、既存街路樹の間に新たに街路樹を新植する行為が発生します。 そうなると、当然枝が干渉しあうようになるので強剪定という流れです。 やはり、本数を目標にしている近隣の国でも同じ状況になっている街路があります。 街路樹は何本植えるかが重要なのではなく、どんな機能を発揮させるかが大切であり、機能重視(パフォーマンスベース)で目標を検討するようにしたほうが良いと思いますがどうでしょうか? 一方、米国では、街路樹のメリット(機能)とリスクを明示し、受益者負担を含め合理的な行政サービスを行っているように感じました。 自治体によって色々な運用がなされていますが、私の住んでいた地域では自宅の前面にある街路樹の落ち葉清掃は、住民の義務になっていました。 それに疑問を持つ住民は少なく、不動産屋が「あのエリアは落ち葉が多いから高級住宅地よ」と紹介するなど、良好に維持された街路樹(強剪定ではない!)によって不動産価値が高くなっていることが広く認識されていました。 受益者負担で実施する落ち葉清掃に関しても、合理的な運用がなされており、例えば最近注目を集めているオレゴンのポートランド市では「 Leaf Day Pickup service 」が行われており、WEBSITEから申し込みができ...

認証制度の一石二鳥/SITESとLEED

LEEDは建築物環境性能認証システムとして日本国内でも広がりをみせています。 また、持続可能な敷地の環境性能認証システム"SITES"も、このブログで何度か取り上げてきました。 このLEEDとSITESは同じUSGBCが運営していることもあり、類似した評価要素が多く存在します。 たとえば、 SITES Context C1.5: Redevelop Degraded Sites  (only case 2 Brownfield Sites) と LEED SSc3: Brownfield Redevelopment Water P3.2: Reduce Water Use for Landscape Irrigation (only Design the Landscape for no Permanent Irrigation) と WEc1: Water Efficient Landscaping (only Option 2 –Path 2: No Permanent Irrigation) Soil + Vegetation C4.9: Reduce Urban Heat Island Effects と SSc7.1 Heat Island Effect –Nonroof and SSc7.2 Heat Island Effect - Roof などなど つまり、SITESに取り組むことでLEEDのポイントも稼げるということです。 USGBCから " Synergies between SITES and LEED "  というタイトルで資料が整理されているので、関心がある方はチェックしてみてください。

商業店舗におけるバイオフィリックデザイン採用のメリット/The Benefits of Biophilia and Greenery in Retail

イメージ
表題に関して 興味深い記事 が出ています。 消費者の多くはなんらかのストレスを抱えており、これをバイオフィリックデザインで解消しポジティブな気分を醸し出すことで売り上げが上昇し、ひいては不動産価値(賃料)が上昇するという内容で、豊富な研究データを用いながら解説しています。 Research literature already points to the biophilic benefits of integrating greenery in human habitats. While most research has up to this stage, focused on residential, healthcare and office environments, researchers are now turning their attention to retail environments and the case for green infrastructure here is strengthening. 例えば、来客数を増加させる、客単価を12%増加させるなどのデータが紹介されています。これは中規模の小売店で年間1億円の売り上げ増加を見込めるとのことです。 Building on this finding, additional research found that consumers were more inclined to enter a shopping mall when it contained vegetation and that ‘the presence of greenery led to higher exploration rates within the space.’ Customers also indicated that they were willing to pay eight to 12 per cent more for goods and services in areas with a mature tree canopy. As one study notes, for a ‘mid-size retail centre, this could ...

The New Landscape Declaration

The New Landscape Declaration [Documentary] from LandscapeArchitecture Foundation on Vimeo .

2016 ASLA AWARDS

イメージ
本年度のASLA PROFESSIONAL AWARDS およびSTUDENT AWARDSが 発表 になりました。 2016年度はトロントの Underpass Park やシンガポールの ビシャンパーク 、リビルトバイデザインの THE BIG U など、話題のプロジェクトが選定されています。審査講評を含め是非確認しておきたいサイトです。 個人的には今年もコミュニケーション分野のプロジェクトが興味深いと感じました。 公園の魅力に関して出前授業を行う Roving Rangers 住民参加型空地活用プロジェクトのツールキット、 Activating Land Stewardship andParticipation in Detroit: A Field Guide to Working With Lots 植物を用いたブラウンフィールド浄化技術、 PHYTO 海面上昇への適応策を検討した、 Sea Change: Boston (画像は全てASLAサイトから転載) この職能のコミュニティー活性化や地球環境保全、気候変動適応への幅広いニーズが益々高まっていることが理解できます。

緑地と害虫の切っても切れない関係/wildlife conflicts in Tokyo

イメージ
仕事柄、緑地の必要性に関していろいろな方と話す機会があります。 ところが年々、緑地は虫が出るから不要だという人が、増えていると感じます。 自分が働く、もしくは生活するエリアに緑が近接していると、虫に刺されたり室内が不衛生になったりするから嫌だ、公園は隣ではなく歩いて行ける程よく離れた距離にあればよいと考えているようです。 こんな傾向を裏付けるような論文が ネイチャー誌に発表 されました。 プレスリリース には以下のように紹介されています (以下一部転載) 首都大学東京(上野淳学長)大学院 都市環境科学研究科の沼田真也准教授を代表とする高度研究プロジェクトは、東京都の福祉保健局のデータを用いて、東京都の害虫・害獣のうち、屋外害虫に関する相談件数が近年増加傾向にあること、そしてハチやヘビなどの相談件数と緑地面積には関連があることを明らかにしました。  この研究成果は、8月2日、"Nature"グループのオンライン科学誌"Scientific Reports"に掲載されました。  生物多様性は近年自然保護のキーワードとなっており、都市政策において生物多様性に関する取組の重要性が高まっています。しかしながら、近年、生物多様性は必ずしも人間生活にとって正の効果(生態系サービス)を与えるわけではなく、害獣や害虫の増加など負の効果(負の生態系サービス)を与えうることが指摘されています。特に、都市域においては生物多様性の保全に寄与し、人間に快適な生活を提供する都市緑地に期待が集まっていますが、都市緑地が害獣・害虫の種類や数にどのような影響を与えるかは分かっていませんでした。 沼田真也准教授(首都大学東京大学院 都市環境科学研究科)を代表とする高度研究プロジェクトでは、都市の生物多様性と地域社会による利用の現状、および生物と地域社会との軋轢について研究を行っています。保坂哲朗特任准教授と沼田真也准教授は東京都の福祉保健局のデータを用いて、東京都の害虫・害獣のうち、各市区町村のハチやヘビなどに関する相談件数と緑地面積には正の相関があること、そして、これらの屋外害虫に関する相談が近年増加傾向にあることを明らかにしました。 --- 記事の通り、緑地の整備が都市生活者との間に軋轢を生んでいる可能性があること、その背景...