街路樹の日米比較/Leaf Dayなど

季節ネタで街路樹管理手法の話題

紅葉が美しい11月ですが、東京では紅葉・落葉前のタイミングで強剪定が行われています





沿道住民や店舗からの行政へのクレームを防ぐために、葉が落ちる前に枝ごと落とす強剪定に関しては、日本は景観に関する関心が低いため実施されると言われています。本当にそうなのでしょうか?

日本では、自治体が街路樹を”何本植えるか”を目標としているケースがあり、これが強剪定を引き起こす一つの要因ではないかと感じています。

つまり、何のために街路樹を整備するのか、その目的を達成するための街路樹デザインはどうあるべきかの議論がなされておらず、
「○○通りに街路樹を100本増やした」が目標となっているため、本数の確保そのものが最大の達成目標になっています。

この考え方では、質を問わず同じ大きさのスペースに出来るだけ多くの植栽をする方が、「目標に近づく」ことになります。
従来1本植えられていたスペースに2本植えるように計画したり、既存街路樹の間に新たに街路樹を新植する行為が発生します。
そうなると、当然枝が干渉しあうようになるので強剪定という流れです。

やはり、本数を目標にしている近隣の国でも同じ状況になっている街路があります。



街路樹は何本植えるかが重要なのではなく、どんな機能を発揮させるかが大切であり、機能重視(パフォーマンスベース)で目標を検討するようにしたほうが良いと思いますがどうでしょうか?



一方、米国では、街路樹のメリット(機能)とリスクを明示し、受益者負担を含め合理的な行政サービスを行っているように感じました。



自治体によって色々な運用がなされていますが、私の住んでいた地域では自宅の前面にある街路樹の落ち葉清掃は、住民の義務になっていました。
それに疑問を持つ住民は少なく、不動産屋が「あのエリアは落ち葉が多いから高級住宅地よ」と紹介するなど、良好に維持された街路樹(強剪定ではない!)によって不動産価値が高くなっていることが広く認識されていました。




受益者負担で実施する落ち葉清掃に関しても、合理的な運用がなされており、例えば最近注目を集めているオレゴンのポートランド市では「Leaf Day Pickup service」が行われており、WEBSITEから申し込みができたりしています。

自分で清掃すればお金はかからず、市に委託すれば特定の日に落ち葉掃除をしてくれるサービスです。

市のパンフレットでは街路樹の意義や落ち葉清掃プログラムに関してに関して以下のように説明しています。

Urban trees are good for the city and work for everyone every day. Trees capture and absorb stormwater, clean the air we breathe and cool our homes, schools and businesses. Trees help make our neighborhoods livable, reduce our costs and keep our rivers healthy. All of us have a stake in urban trees. It’s in all of our interest to maintain them and help them ourish. Of course, with trees come leaves – and when leaves fall in an urban environment, it’s necessary to clean them up. Letting them stay on the street can clog storm drains, ood intersections and make streets and sidewalks slippery. Our Leaf Day Pickup program gets the leaves cleaned up in a way that makes a better, healthier and safer Portland. Because some parts of the city with dense tree coverage require more service than others, residents and businesses in those neighborhoods pay an annual leaf removal fee. Those without trees can opt out.


この取り組みは、GISのESRI社のサイトでも紹介されています。

そろそろ強剪定から卒業し、各主体が連携し街の価値を向上させる街路樹育成に踏み出したいですね。








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