英国のランドスケープ系業務の需要と供給:UK’s Landscape Workforce

 英国におけるランドスケープ関連のスキルや労働力などに関する現状と将来を整理したレポートの備忘録

Greener Places レポートのスキル

先ず政策課題に関して以下の現状認識を示しています

  • エネルギーや食糧の安全保障、気候危機、自然回復、経済発展など国際的課題において土地利用は中心的なテーマであり、ランドスケープセクターの活躍が期待される事。
  • 気候変動の緩和と適応は今後の業務における最重要課題である事
  • 開発に関する需要の中で生物多様性の改善と自然の回復、ネイチャーポジティブなどがますます重要になっている事
  • パンデミックの発生とそれに対応するためのワークスタイルの変化が、公共スペースの利用や緑地へのアクセスなど健康と福祉の空間整備のありかたを再考させる事


その上で、次の事項を指摘しています

  • 英国では、地域によりランドスケープのノウハウのギャップがあり、それが気候変動適応や自然開発の実行を妨げている。
  • 本ビジネスの供給量が不足しており、環境に配慮した土地利用を実施するための契約を断らざるを得ない状態
  • 特に生物多様性と自然回復に関するスキルへの市場ニーズが高い
  • 公共部門や大都市以外の地方で特にスキルの不足が深刻であり、地方部における適切な土地利用が実施できなくなるのではないか。
  • 労働力の高齢化も課題
  • ランドスケープ部門は約246億ポンド経済波及効果があり、他の産業平均の2倍の速さで成長している。(2010年以降で10%に対して18%)

この調査は、Landscape Instituteが中心となり実施したもので、ダッシュボードで各地域の状況が確認できるようになっています。

ダッシュボード:https://dashboard.landscapeinstitute.org/online-dashboard-public/


示唆に富むレポートですが、締めくくりとしてp66示された「美学から多機能なランドスケープへの世代交代」「ランドスケープはこれらの課題に対して先導する準備ができているのか?」というコメントが刺さりました。

”The landscape discipline’s generational shift from aesthetic to multifunctional, the historic demands of climate change and biodiversity, the rising salience of landscape within the public realm, and the potential positioning of landscape at the centre of a coalition of allied disciplines offer an opportunity for the industry to reposition itself as a fundamental asset to the UK economy.”


日本でもリスキリングが話題となっていますが、社会課題の解決に向き合える市場の需要にに応えられる人材をどれだけ輩出できるのか、業界に身を置く自分自身が自らを省みることが必要と思いました。



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