Park prescription (DC Park Rx)/緑地の利用を促進する処方箋

先日ご一緒した公園管理者の方から教えていただいた”Park prescription/DC Park Rx”の備忘録。Rxは、いわゆる処方箋(prescription)の略です

Zarr, R., Cottrell, L., Merrill, C., (2017). Park prescription (DC Park Rx): A new strategy to combat chronic disease in children. Journal of Physical Activity and Health, 14(1), 1-2.

Park prescriptionはワシントンDCの小児科医Robert Zarr医師らが開発したもので、慢性疾患のリスクがある子供の運動量を増やすための公園利用を促進するものです。

具体的には、薬物治療を受けている青少年に対して必要に応じて公園利用の処方箋を出し、患者の体力改善などを測るものです。
処方箋には、公園での身体活動の強度、頻度、継続時間などが記されます。

この処方箋を作成するため、公園評価ツールを使用してワシントンDCの350を超える公園が評価されています。
そして、公園の清潔さ、アクセス性、アクティビティ、アメニティ、安全性などが検索可能なデータベースとして整備されています。

実証調査では、公園の処方箋が発行された225世帯を対象として、診療所を訪れる前と3か月後に身体活動に関する取り組みと行動変化を評価しました。
その結果、公園で30分以上過ごす日数が7日から8日/月に増加し、平均活動時間は150分から172分間/週に増加したとのことです。
加えて、より多くの親が定期的な運動に関心を示すようになったとのことです。




Zarr医師は、自然環境の中で過ごす時間と健康状態との関係を示すエビデンスは非常に多く、これまでに400件を超える相関研究が自然の中で過ごす時間と健康改善の直接的な関係を示していると説明しています。
また、このような治療法は副作用が少なく安価で、糖尿病、高血圧、肥満、うつ病など幅広い疾患、あらゆる年齢層に有効だとのことです。

彼は、Park Rx America(DC Park Rx)を創設し、公的にアクセス可能なオープンスペース情報を医療提供者などと連携しながら整備し、公園処方箋の作成を支援するシステムも提供しています。




PRAのサイトを見ると、医師や看護師の組織に加え、米国国立公園局、スミソニアンなど多様なパートナーシップが組まれています。

このようなイノベーティブな取り組みには、縦割組織を超えた連携が重要なんですね。


■参考サイト
Park Rx America(PRA):https://parkrxamerica.org/
米国バーモンド州バーリントンのParks Rx:
https://enjoyburlington.com/parks-rx-program/
Path Environment Audit Tool :
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28834518
System for Observing Play and Recreation in Communities:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2957838/

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