まちの美しい風景と経済成長の関係性/Leisure Amenities and Urban Growth
今年の3月に発表された、フィラデルフィア連邦準備銀行とMITの研究者が調査した都市の美しさと経済成長に関するレポート
”Beautiful City: Leisure Amenities and Urban Growth” の備忘録
主な内容は以下の通り
- 現代の都市計画の理論ではレジャーアメニティーを提供する都市は、特に高度なスキルを持つ住民とその雇用者を中心に人口を引き寄せると考えられているが、直接的な論拠は示されていない。
- そこでPanoramio(既にサービス終了、今はインスタグラム)を用いて世界中の旅行者が撮影した全米各地の300万枚の写真を解析し、美しい都市を調べるとともに、18万ものアンケート調査によって、世帯年収や年齢などどのような属性の市民がどの都市を観光したのかを調査した。
- 分析結果から都市の美しさは規模ではなく、より多くの公園や歴史的建造物、水辺や山への近接性、澄んだ空と降雨の少なさも影響していることが分かった
- また、低い税率と同様に美しい都市は人口増加の効果があることが示された。
- 美しい都市は、特に供給弾力性のないマーケットで、高学歴住民を惹きつけより大きな不動産価格の上昇がみられた。
- 例えば、ピクチャレスクな場所が他の2倍ある都市(美しい都市)は1990-2010にかけて人口と雇用が1割増加している。
- 同様に美しい都市の上位25%は不動産価格が下位よりも16%高かった。
- 公園やレクリェーションへの投資を10%増やすと観光産業の雇用が1.3%増加すると推定
- ただし、ジェントリフィケーションは課題
この研究ではインスタグラムに適した地区をCBDsならぬCRDs(中央レクリエーション地区 :central recreational districts)と定義し、それが都市の魅力であると説いています。
美しさに注目したまちづくりを進めることで→生産性の高い人と産業を引き寄せ→成長した経済と税収で→で手ごろな価格の住宅を用意しジェントリフィケーションに対応するような都市成長モデルを議論できる重要な研究レポートと感じました。日本の都市に本手法を適用しても面白い結果が出るかもしれませんね。
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