ランド系大学の学費と投資対効果

MLA ROIというタイトルで、米国のランドスケープ学生が減少している理由を、投資対効果(投資利益率)から解説している記事がLAM誌で紹介されていました。
大学の学費を投資、将来収入をリターンとしてとらえたときに、どのようなROI(投資利益率)になるのか? を説明しています

主な内容は以下の通りです



  • 米国のランド分野の就業人員数は2006年の45,000人をピークに、2016年には2.5万人を下回る水準まで減少している
  • ASLAのデータによると2013~2017年の間にBLAプログラム(学士)の入学者数は15%減少した。また、MLAプログラム(修士)の入学者総数は変わらなかったが、国内の志願者は16%減っており、海外留学生が定員をカバーしている。
  • 平均的なMLAの学生は$39,284の学生ローン(DesignIntelligenceデータ)を抱えて卒業し、平均年収$65,760(労働統計データ)を得るので借金に対する収入は1.67の倍率となる。
  • これに対し、建築分野は1.72、インテリアデザイン分野は1.32となっている。また大学院生の入学者数は建築分野も10%減少、都市計画分野も11%減少している。
  • 一方、IT分野は平均年収が$84,580であり、一部では10万ドルを超えている。IT分野は学費がランド系分野と同レベルのため、ROIから検討し、こちらに学生が流れたのではないか?
  • BLAとMLAの比較では、MLAを取得したからと言って生涯年収が大きく上昇することはなく、実務経験を積むことが重要だとのコメントを紹介しています。
  • 別の視点で、学費が年間5万ドルを超えるハーバードと1.2万ドルのカンザス州立大学も比較しています。この2校では卒業までの必要経費に4倍もの差があり、アイビーの学位が4倍もの価値があるのか?(Is an Ivy League degree really four times more valuable?)とのコメントが紹介されています。


その他、ランド分野での女性の活躍状況やオンライン教育の発展などに関しても、その課題などを説明しています。詳しくは本文を確認ください
https://landscapearchitecturemagazine.org/2019/05/28/mla-roi/

こうしてみると日本の学費は安いなと改めて感じます。高額な学費だからこそ、ROIという視点に注目が集まるのかもしれませんね。




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