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造園家を目指す次世代向け参考図書/ ASLA Activity Books

ランドスケープアーキテクチャーに興味を持っている方のための参考図書が新たにASLAから発行されました。

本図書は9歳~12歳向け(キッズ向け)と13歳以上向け(ティーンと大人向け)の2冊に分かれ、無料でダウンロードできます。

主な内容は以下の通り。

・ランドスケープアーキテクト(LA)になるためのツールやスキル
・LAが環境を創る多様な手法
・LAがどのようにしてアイディアを形にしたり複雑な問題を解決するのか ・人々が暮らし、働き、遊ぶための美しい空間づくり


基本的に、一般向けの平易な英語で記述されているので、英文の専門書や論文よりは読みやすいと思います。
本文中では、ハンドドローイングによって検討を進める手法が主に説明されており、日米の類似点や相違点が見え隠れして興味深いです。
最近はCADやイラレ、フォトショ、スケッチアップが主流でハンドドローイングを見る機会も少なくなりましたが、手で描いて考える重要性を再認識しました。


2冊とも最終ページに、LAになるために必要な事項(Become a Landscape Architect)として以下の4点が紹介されています。

Study Hard:科学、技術、数学、芸術、歴史、経営、そしてコミュニケーションスキルなどを学ぶ事

Visit a Landscape Architect:ASLAの支部に問い合わせて、各地域にいるLAを訪ねる事

Volunteer:地域を知る必要があり、公園の清掃活動などのボランティアに参加する事

Prepare for College:全米にはLAのプログラムを有する大学が数多くあり、まずはそこに入学する事


4つの中にボランティア活動が推奨されている事が米国らしく印象的でした。





墓地のグリーンインフラ化/ワシントンD.C.

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米国ワシントンDCにおける、雨水貯留の新モデルの話題

墓地などをグリーンインフラ化することにより、持続可能なまちづくりを進めようとしています。


ポイントは次の通りです


墓地の不透水面を除去し雨水流出抑制のグリーンインフラモデルとして改変これにより年間14万ドルの雨水処理費用を削減地下浸透を促進することで水質も改善し、長年の課題であったChesapeake Bayの水質改善にも寄与元々あった437000平方フィート(≒4ha)の不透水面の内、未利用の道路を廃止したり車線を減らすことで現時点で18000平方フィート(≒0.17ha)がバイオリテンションセルに置き換わった。GI化に必要な資金1.7百万ドル(≒1.8億円)は、stormwater retention creditsを販売する事で確保する。ワシントンDCでは2013年に出来た新しい規制により、開発業者が必要な雨水貯留対策を講じることが難しい場合、雨水貯留クレジットを買って代償することになった。

元の記事はこちら"D.C. Cemetery Finds New Life As Stormwater Retention Model "


日本でも都市型水害が深刻化する中で、開発時のオンサイトにおける雨水貯留は重要です。
しかし一方で、将来的な構造物の維持管理、更新コストを考えると従来型のアプローチでは限界があるのは明らかです。

そこで、墓地に加え、都市内の駐車場や農地、学校校庭などのグリーンインフラ化を進めることにより維持管理負担の削減に加え水質浄化や緑地面積の増加など多様なメリットが生じます。

GIを社会実装するための大きな課題である「資金」面に関しても、クレジットシステムの導入により解決を図っている点が印象的です。

持続可能なまちづくりに向けた今回の取り組みの今後の展開に要注目です。








Biophilic Leadership Summit

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昨年もメモした”Biophilic Leadership Summit
今年も4月8-11日にセレンビーで開催されました

今年も興味深い情報が多数紹介されていたようですので以下に列記します(ネタ元:https://www.mindbodygreen.com/articles/how-to-bring-biophilic-design-into-your-home)


GoogleやEtsy, Amazonのオフィスでは生産性を高め職場のストレスを軽減するため、自然に基づいたデザイン(バイオフィリックデザイン)がここ数年でメインストリームになってきている。(Googleの MARY DAVIDGE氏基調講演)

Van Vliet'sのアプローチの紹介Work in some water. Go for a smell-good space. Seek refuge. Play with sunlight. Designate tech-free spaces.

WGBCが最近発表したDoing Right by Planet and People: The Business Case for Health and Wellbeing in Green Buildingの紹介(ダウンロード可、ケーススタディ多数)
NATURE-BASED WELLNESSの紹介
Keith Bowers ”Atlanta’s Urban Ecology Framework”の動画






バイオフィリックデザインのケーススタディ(整備事例)は増加しているようですが、後付コンセプトの感もあります。
また、フレームとしては理解できても、個別の施設と利用者の健康との関係性の解明はまだ始まったばかりといった感じです。
私の周辺も「なにそれ?」といった反応が多く、盛り上がりに欠けています。

とはいえ、因果関係を否定できるものではなく、加えて、シンガポール政府やIT系のトップ企業が「Biophilc」を打ち出しているのは心強く感じました。






West Philadelphia Landscape Project/都市水害とランドスケープ

MITのアンスパーン教授がCooper Hewittの2018 National Design Awardsを受賞したとのニュースが発表されました。
ランドスケープではFarrar Pond Garden で有名なMikyoung Kim氏も受賞しています。


公式サイトではアン先生の代表的な取り組みの一つである西フィラデルフィアの再生事業(WPLP)が動画と共に紹介されています。

フィラデルフィアの貧困地域である西フィラデルフィアは、貧困や水害、治安など数々の課題を抱えています。
WPLPではペンシルバニア大学やMITなどの協力を得ながらフェーズごとに複数の取り組みが進められています。
例えば、古地図を用いて歴史を紐解きながら下水計画を見直し洪水や地盤沈下の減災を防止する。空地を活用して教育プログラムを展開し貧困から抜け出す機会を提供する。

参考までにいくつかの動画を下部に張り付けました。

注目したいのは専門家がランドスケープリテラシーを用いてエリアの問題を発見し、土木、建築、教育、行政などの各専門家と協力しながら事業を進めている点。

日本ではグリーンインフラの社会実装も大きな課題となっていますが、地域の課題を読み解き、他分野の専門家と丁寧に議論を重ね問題共有し、職能の枠を超えて行動していくことで、次のステップが見えてくると再認識しました。



2018住宅外構のニーズ/ASLA調査

今年の2~3月にかけてASLAが実施し、ランドスケープアーキテクトが回答した住宅外構ニーズの調査結果が発表されました。

最近のトレンドトップ10には、在来種、ヨガスペース、それにモバイル用の充電ステーションが入ったと公表されています。

Here are the top ten project types with the expected highest consumer demand:

• Native plants – 83.3%
• Native/adapted drought tolerant plants – 83.0%
• Low-maintenance landscapes – 80.0%
• Flexible use space (for yoga classes, movie night, etc.) – 74.2%
• Drip/water-efficient irrigation – 72.4%
• Permeable paving – 74.0%
• Rain gardens – 71.2%
• Reduced lawn area – 70.8%
• Food/vegetable gardens (including orchards, vineyards, etc.) – 70.5%
• Charging stations (mobile devices) – 70.0%

在来種を活用した無灌水の緑化や多目的利用のスペース、レインガーデン、菜園などのニーズが高いのは従来通りの様です。

その他、カテゴリーごとに2018年のトレンド予想が紹介されています。以下転載です。

Outdoor Design Elements
Ranked in expected order of popularity for 2018:

Fire pits/ fireplaces – 66.0%
Lighting – 65.4%
Seating/dining areas – 64.0%
Outdoor furniture – 59.1%
Outdoor kitchens – 58.8%
Decking (i.e., rooftop decking, etc.) – 53.6%
Grills – 50.0%
Movie/TV/video theaters, wireless/internet, stere…

健康とGI/10 Ways to Design Healthy Communities

ASLAのウィスコンシン地区大会の基調講演(Dee Merriam女史)を紹介した記事の備忘録


公衆衛生を向上させるために、コミュニティに公園やトレイルを整備することが重要。Center for Disease Control and PreventionとNational Center for Environmental Healthは「健康的なコミュニティデザインのイニシアティブ」を立ち上げ、造園家のDee Merriamを雇用した。彼女は、行政の公衆衛生部門と地域開発部門が連携しておらず、重複投資など幾つかの課題をあげている点を指摘している。例えば、調整池の多面的利用や街路樹のための空間確保などはコストをかけずに健康面で大きなメリットをもたらすにもかかわらず、開発者は関心を持たない事が多いとコメント。( silo-based approachesになっている)この解決策として、グリーンインフラの考え方が重要になると指摘。
また、身体的、精神的健康を養うための次の10のデザイン手法が紹介されています。

Start with a “community health profile”Identify potential partners.Leverage park and trail creation with other development initiatives.Include open fields in parks, and resist efforts to carve up existing ones. Strive for equity within outdoor recreational resources.Ensure pedestrian access to parks and trails.Create conditions for people to feel safe.Consider making sidewalks and park and trail accesses wide enough for children to walk in groups. Reduce the length of blocks. Set aside land for future parks and greenways. 

詳細はこちらを参照
ht…

シンガポール 都市林のプラットフォーム/trees.sg

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3/21のInternational Day of Forestsに際して、シンガポールのNParks(the National Parks Board)が、都市林のオンラインプラットフォームを立ち上げたとの発表がありました。

例えば、Exploreの頁では、シンガポールにある50万本以上の樹木の位置や情報などが、オンラインで閲覧可能となっており、市民の方が家の前の樹木の開花時期を調べるたり、メンテナンス方法を学んだりすることが可能となっています。

⇒https://www1.nparks.gov.sg/trees




使い方は非常にシンプルで、住所を入力したり、オンラインマップから探したい場所を指定して、表示された個別の樹木をクリックすると、その樹木の写真や学術名、開花時期、維持管理方法などが表示されます。
Contributeの頁では、自分で撮影した樹木写真の登録や寄付、ボランティア活動の参加情報などが提供されています。
さらにLearnの頁は、樹木の働き(生態系サービス)や樹木の仕組みなどの情報が得られるようになっています。
その他、シンガポールでは3/21から都市林を巡る無料のパブリックツアーが開催されるそうです。
⇒https://www.nparks.gov.sg/treetrails

DateTimeGuided Walk21 Mar (Wed)10 AMTrees of the Fort24 Mar (Sat)9 AMHeritage Tour in Singapore Botanic Gardens25 Mar (Sun)9 AMCivic District Tree Trail31 Mar (Sat)9 AMChinatown Heritage Tree Trail
Registration will open on 18 Mar, 10 AM
本システムは、都市緑化の市民向け啓発活動として役立つことはもちろんですが、専門家が実施する各種緑地検討の参考データとしても非常に有益と思いました。市民がデータを強化していく仕組みも良いですね。