Superblocksと健康の関係/バルセロナのまちづくり
スペイン・バルセロナでは” Superblocks ”モデルを用いた歩行者優先都市実現に向けた社会実験を実施しています。 これは、スーパーブロック(道路で囲まれた一街区)の内部の車の通行を制限し、これまで車道として利用されてきた街路スペースを、地域住民が選択したスポーツやイベントなど別の用途に活用するプロジェクトです。 2016年に開始したこの取り組みは市内で年々エリアが拡大しており、最終的には市内の70%にスーパブロックスゾーンを展開する計画となっています。 この社会実験は、CO2の削減や、交通安全などの便益が期待される一方、車が遠回りになる、不便、夜間の治安が悪くなるなどの否定的な意見もあるそうです。 そのような議論に一石を投じるスーパーブロックモデルと健康の関係を評価した論文が9月に公開されました。 タイトルは「 Changing the urban design of cities for health: The superblock model 」 スペイン、アメリカ、オーストラリアの研究者らの共著となっています。 主な内容は以下の通りです 20歳以上のバルセロナ市民1,301,827人を対象にhealth impact study (HIA) 手法を利用して便益を評価した パラメーターは5つ、air pollution (NO2), traffic noise, physical activity, green space, and temperature. その結果スーパーブロックスプロジェクトが667人/年の早死にを防ぎ、住民一人当たりの平均寿命を約200日延ばし、年間の経済便益(節約効果)は17億ユーロと推定された。 健康上の利点は、NO2減少(291人/年)、騒音減少(163人/年)、熱環境改善(117人/年)、緑地開発(60人/年)の早死防止と示されています スーパーブロックを実装することで、健康に関する便益が生まれることが推定された。この手法は環境問題や気候変動への対応を課題とする他の都市への展開も期待される。 バルセロナといえば観光公害で有名な場所のため、車を締め出すには観光業への影響など様々な課題があったと思います。 社会実験を通して多面的かつ科学的な視点でまちづくりを議論する取り組みは、社会が...