犯罪とGI/ Greater tree canopy cover is associated with lower rates of both violent and property crime

かつてニードルパークと呼ばれ、犯罪が多発していたブライアントパークは、デザインを見直し植栽を大幅に変更したことにより犯罪発生率低減に成功しました。
その後、セキュリティーランドスケープの議論においても、見通しの悪い灌木などの緑化がテロや犯罪を誘発すると言われてきました。

このような考え方に新たな視座を与える研究レポートがLandscape and Urban Planningに掲載されました。


Landscape and Urban Planning Volume 143, November 2015, Pages 248–253

これによると、コネチカット州のニューヘブンにおいて、樹幹率が高まると犯罪が減少するという以下のデータが示されています。


・Tree canopy cover was inversely associated with crime in New Haven, CT.

・A 10% increase in tree canopy was associated with a 15% decrease in violent crime.

・A 10% increase in tree canopy was associated with a 14% decrease in property crime.

・Results add to the body of evidence suggesting trees’ crime prevention potential.


Quantile classified choropleth maps of crime outcomes and tree canopy cover by ...

(論文から転載)


同様の研究成果は、ニューヨーク市やペンシルベニアボルチモア、シカゴでも発表されています。緑があることにより、衆人監視が高まり、結果として犯罪が起きにくくなるメカニズムだと説明されていますが、例えばバイオフィリック的な自然の営みを感じることで犯罪を思いとどまるなど、それ以外の要因もあるのかもしれません。

このような研究は空間データが整備され公開されている米国だからこそ進んだと言えます。今後の日本でも、このような視点を街づくりに活用していきたいものです。

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