京都の庭園/緑の価値



新緑が心地よい季節となりました、今回は京都の庭園に関する話題2本をご紹介します。



【その1】郵政公社の庭園売却計画

日本郵政公社の京都貯金事務センター跡地(京都市北区・上京区)が競売で売却されることになった。この敷地内には、江戸時代初期の日本庭園「擁翠園(ようすいえん)」があり、京都市などは指定文化財に相当するとして、売却するにしても庭園保存などを条件につけるよう求めていた。擁翠園は池泉回遊式庭園で、著名な金工師・後藤長乗の邸宅に築かれたといわれる。しかし、郵政公社側は売却価格が下がる要因になるとして庭園保存の条件は付けられないとしている。

その後の経過が気になっていましたが、次の結果となったようです。

--以下転載


-41億円で落札した日本郵政公社京都貯金事務センター跡地の使い道は。
(一部略)、、研究者が自由に仕事に打ち込める環境として魅力ある場所。現在は庭園も荒れているが、30-40億円かけ建物と庭園を整備していく。庭園は要請があれば一般公開もしていきたい

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【その2】京都の庭園投資(コラムより転載


(一部略)、、京都の名所として観光客を集めている寺に隣接して、日本庭園がある。敷地面積は1万m2以上で、茶室や迎賓館などを備えている。元は寺の一部だったが、明治時代に売却され、個人の居宅として利用されてきたらしい。詐欺事件の舞台になった後、競売にかけられ、2006年に関西の不動産会社が落札した。ある不動産会社は「収益物件として50億円で買わないかと持ちかけられた」という。

 庭園が50億円に見合う収益を生むとはにわかには信じがたいが、ロジックはこうだ。京都への観光客は過去5 年間、増え続けており、2005年には4727万人に達した。京都市の調査によれば、隣接する寺には年間500万人が訪れている。件の庭園を観光客に開放して1000円の入場料を取れば、5億円の収入になる。50億円で買えば表面利回り10%というわけだ。京都の庭園を所有する優越感も得られるおまけ付きだという。

 海外投資家との付き合いが多いファンドマネジャーから、「京都の物件をファンドに入れると外国人に評判がいい」との話を聞いたことがある。投資案件が不足しているなか、外国人ウケをねらってこの庭園に関心を持つファンドが現れるかもしれない。もっとも先の収益計算は捕らぬ狸の皮算用。観光客をどれくらい呼び込めるか、庭園や日本家屋の維持費にどれくらいかかるかなど、不確定要素は多い。もし投資対象として考えるならば、難しい判断を迫られそうだ。

--ここまで

落札された企業のトップのコメントは、研究者によりよい環境を用意したい⇒歴史的な庭園を再整備し研究者の創造性を刺激したい、つまり緑の効用と資産価値に注目している、とも読むことができ、そう考えているのであれば非常に見識が高い優れた経営者であると思います。

また、庭園資産価値の収益還元法での試算は不確定要素が多いと断っているものの面白い試みだ。周辺の観光業者に対する経済波及効果などを勘案するとともにBIDの手法なども取り入れ、この庭園が当該地区の経済活性化に貢献するシナリオを示すことが出来れば、もっと庭園保存の動きが盛り上がるかも、、









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