不動産に関する「環境付加価値」/東京都不動産鑑定士協会設立10周年記念論文

社団法人東京都不動産鑑定士協会が昨年(2005年)設立10周年を迎えたそうです。その記念事業の一環として記念論文の募集があり以下のものが最優秀賞として選ばれました。



不動産に関する「環境付加価値」の検討/住友信託銀行株式会社 伊藤雅人氏



以下講評より転載します--


不動産評価の要素として、従来は配慮されることの少なかった「環境」がおおきなウエイトを占めつつある。地球大気の温暖化がもたらす生態系の変化に対して、都市の構造、建物の配置や材料などに配慮が必要な時代となったし、街の景観や歴史・文化も「環境」の要素である。また人が健康で安全に生活できる「都市環境」であるかどうかも居住地選択の鍵となって久しい。
受賞対象となった伊藤論文は、審査員の全員が第1位に推した。その理由は、これまでの不動産鑑定業務の中で、意識はされつつも実務的手法が確立されていない「環境付加価値」の分野に取り組もうとした着眼点が高く評価されたものである。
論文の構成は、まず、いわゆる環境問題の現状を概観し、次に環境問題と不動産価格との接点を整理し、次いでビジネスとしての不動産鑑定士による環境付加価値分析ビジネスの可能性を模索した。最後に調査価格の算出の私案とその試算結果を添付している。このように、論文としての筋立てに論理性があることも評価された。
ただ、冒頭で、最近の地球環境問題の解説に多くのページが割かれていることと、内容的にも不動産価値との関連性が希薄で、論旨の展開が稚拙となっていることには、審査員からもかなり強い批判があった。これらの点を修正しさらに綿密な考察と分析を進めることによって、時代を先導する優れた論文となる可能性があるとの期待感があった。

--ここまで



”不動産鑑定業務の中で、意識はされつつも実務的手法が確立されていない「環境付加価値」の分野”という指摘は非常に重要で、現在小職が取り組んでいる、緑による不動産価値向上や環境付加価値の「見える化」に関するニーズが今後益々高まるのではないかと感じます。

なお、この論文の要旨本文はリンク先から閲覧できます



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